2018年5月26日土曜日

京都和久傳の森と日本の三文殊

安野光雅の世界

日本海側にはあまり行かないが、京都府久美浜町に京都の料亭「和久傳」が「森の中の家 安野光雅館」を造ったので、ドライブがてら見物に出かけた。車で遠出をしないので、高速道路に疎く、大阪府の大山崎インターから京都縦貫自動車道に入れば2時間で天橋立まで行くことや、山陽自動車道神戸三田から若狭自動車道でも同じく2時間位なのも知らなかった。ウィークデイだったせいか車も空いていて楽なドライブを楽しんだ。
京都府久美浜町
森の中の家 安野光雅館
和久傳は有名な京都の料亭だが、もとは丹後峰山町で旅館を営んでいた。丹後ちりめんの衰退により、京都に出て、料亭「高台寺和久傳」を始めた。手の混んだ料理が売りの京都風懐石料理に対して、日本海に揚がった魚や、山で採れた旬の食材を用い、季節の素材の味を活かした「野趣と文化」という味を生み出して、成功した。
その和久傳が故郷に、地域の植物をあつめて和久傳の森を作り、その中に当主が好きな安野光雅の絵を中心とした「森の中の家 安野光雅館」や、レストラン、お持たせの食品などを展示販売する施設を作った。美術館は安藤忠雄の設計でモダンだが、森に調和している。
安藤忠雄設計の美術館
落ち着いた環境でさすがにレストランで出されるランチは美味しい、そして値段もリーズナブル。京都紫野の和久傳で販売している蓮根餅や和菓子もここで出されるし、お持たせも可能だ。丹後の新名所として客を集めているようで、駐車場も広い。
今回の安野光雅の展示は、野草である。安野光雅が美智子妃殿下の本の挿絵を書いた縁で皇居に残る自然の野草をスケッチすることを許され、それらの絵が中心だ。素朴ながら細部まで書き込まれていてほのぼのとする画風が好ましい。

京都丹後と言えば、天橋立や伊根の舟屋が有名、天橋立の根元にある智恩寺の参道にある旅館に泊まった。その智恩寺の御本尊は文殊菩薩と聞き、お参りに行ったら、秘仏で正月三が日と十日えびすと7月24日の出船まつりのみの御開帳だと言う。
住職と話していたら、このお寺は日本3文殊霊場の一つだそうだ。
3文殊は次の通り
 京都府宮津市字文殊 通称 切戸の文殊 天橋山 智恩寺
 奈良県桜井市安倍  通称 大和安倍の文殊 安倍山 文殊院
 山形県東置賜郡高畠町亀岡 通称 羽前亀岡の文殊 松高山 大聖寺
山形県の文殊は知らない、どうやら3文殊は地方によって少しずつ違うらしい。
京都では
 金戒光明寺の黒谷文殊と大和の安部文殊、天橋立の切戸文殊。
安倍の文殊菩薩
快慶作
中国地方では
 山口・周防大島町の岩屋文殊と大和の安部文殊、天橋立の切戸文殊。
大分では
 大分・国東町の文殊仙寺の文殊と大和の安部文殊、天橋立の切戸文殊。
まだ他に関東地方の文殊を入れた組み合わせがあるようだが、天橋立切戸文殊と大和の安倍文殊は変わらないようだ。

大和の安倍文殊しか見たことがないが、他の文殊は、あの快慶作の名作にはかなわないのではないか。 

安野光雅
こぶし

2018年5月12日土曜日

日本で一番大きな塑像仏 岡寺

岡寺
連休が明けて五月晴れの一日、奈良・岡寺に出かけた、5月末まで御本尊の秘仏如意輪観音坐像が特別開帳されている。境内はシャクナゲが満開でとてもきれい。
岡寺は奈良明日香村にあり、岡山の中腹にあるので、岡寺と親しみを込めて呼ばれている。正式には「龍蓋寺」(りゅうがいじ)と言い、西国33所観音霊場の第7番札所だ。
龍蓋寺のいわれは、創建の義淵僧正がこの地を荒らし回っていた悪龍を法力によって、境内の池に封じ込め大石で蓋をした。本堂前に龍蓋池が今も残っているが、想像していたより小さな池で蓋石も小さい。
現存する日本最大の塑像 日本3大仏の一つ
ご本尊・如意輪観音坐像
三井寺 如意輪観音像
六臂・片膝立ち
この如意輪観音坐像は、奈良時代に作られ如意輪観音の最も古い造形として重要視されている。二臂の姿は大変珍しいが、本来はこちらがオリジナルだ。一般的に目にする如意輪観音は、六臂・片膝立てた思惟形、衣に沢山のアクセサリーを付け、六臂の手の2本に名前の由来である如意宝珠と法輪を持つ。これは、平安時代以降、密教の流入によって流布した姿だとされている。岡寺の方は、土で作られた塑像、色は白っぽく、ずっしりとした質感が伝わってくる。塑像なのに高さ4.85メートルもある、近年の台座部調査で、最初は左足を踏み下げて座る半跏像ではあったのではないかと推測されている。

ちなみに日本3大仏とは、次の通り。
”銅像”の東大寺 毘盧遮那仏(奈良の大仏)
”木像”の長谷寺御本尊 十一面観世音菩薩
”塑像”の岡寺御本尊 如意輪観音菩薩

如意輪観音像には立像はなく、すべて坐像あるいは半跏像である、私が訪れた日は、連休明けのウィークデイだったせいか、参拝者もまばらで、間近に堪能するまで仏像を拝観することができた。ほとんど手が届くほど、近づいてその巨大さに驚いた。

傍で見るとその巨大さがよく分かる
土作りの仏像は作例がとても少ない、日本は多湿のため塑像は崩壊しやすい、水気が禁物だ。水に濡れるとすぐ崩れる。唐から奈良時代前期に伝えられ、奈良時代後期に多く造られた。心木に藁縄などを巻きつけ、粒子の荒い荒土から、細かい仕上げ土へと順次盛り上げ、箆(へら)や指で造型する。塑像の仏像は奈良時代に集中している。

主な作例は、奈良・當麻寺:弥勒菩薩像、奈良・法隆寺:五重塔初層安置塑像群(塔本四面具)、中門金剛力士像、食堂四天王立像、奈良・新薬師寺:十二神将像、奈良・東大寺法華堂 執金剛神立像、日光菩薩像、月光菩薩立像、弁天、吉祥天立像、東大寺戒壇院四天王立像 などが有名である。これらの像の殆どが国宝指定されている。
平安時代になるとほとんど造られなくなり、京都広隆寺の弥勒菩薩坐像と、法隆寺夢殿の道詮律師坐像くらいだ。
5月はシャクナゲがきれいだ。




2018年4月30日月曜日

人類はロボットを目指す


大阪大学石黒教授と自身のアンドロイド
大阪大学、石黒浩教授は、ロボット工学者で、英国のコンサルタント会社が選んだ「世界の生きている天才100人」にて日本人最高の26位に選出されている。TV番組にも時々、彼自身の気味が悪いロボットが出演している。桂米朝のアンドロイド、夏目漱石のアンドロイド、マツコアンドロイドなど次々に作ってその都度話題になっている。彼の作るアンドロイドも面白いが、研究の目的と、そこに至る論理がとても興味深いので、紹介したい。

石黒教授は海外講演の依頼に、自分のアンドロイドロボットを派遣する、本人が出向くより、最近ではロボットの方が人気があり講演要望が多い。本人が行って講演するのは別に珍しいことではないが、ロボットが講演するのは珍しいし、興味を持たれる。講演をロボットが行うのはこの時代難しいことではないが、質疑応答は本人でないと答えられない。
夏目漱石ロボット
しかしインターネットで質問に答えることで、殆どタイムラグなく返事が出来る。大学にこのアンドロイドに給料を支払うべきだと言ったら、生身の人間でないと給料は支給できないと言われた。生身の人間でないと仕事は受けられないのか。例えば、義足だったら人間では無いのか、臓器の一部が人工物だったら人間ではないのか。パラリンピックの選手を見れば分かるように、義足をつけた選手のほうが、むしろ健常者よりはるかに運動能力がある訳で、彼らをアンドロイドと言う人は居ない。先日亡くなった世界的物理学者ホーキンス博士は、進行性筋ジストロフィーのため、身体のほとんどが麻痺し車椅子、コンピュータによって移動・コミュニケーションしていた。彼は世界中誰でも無条件で100%人間と認める。そうすると生身の人間とはどう言うことを指すのか。本人のアイデンティティは何かと言うことになる。人間の存在とは何なのか。


原始生命体が偶然、生まれて36億年、現代人類が存在する。原始生命体から今日の人類に進化させたのは遺伝子である。しかし、人類は技術を開発し、技術利用によって人類を進化させて来た。技術による進化は遺伝子による進化よりはるかに早く、人間の活動は今やほぼ全てが技術に支えられている。
生命体の発生から今日までを見ると人類だけが技術利用に
より、有機物の生体をどんどん無機物に替えてきた歴史がある
人間とは技術を開発し利用する動物である。有機体生命である人間は、技術によって、無機物を利用し、自分の機能をどんどん無機物に取り替え続けて来た。身につける衣服、住居、あらゆる活動を支える道具類など。特に二百年ほど前の蒸気機関による筋力の拡張は人類の社会生活を根本的に変革し、産業革命を生んだ。電気の利用、コンピュータの発明による知的活動の拡張によって人類は、大脳機能をほぼ無限に拡大して来た。やがてインターネットの出現で秒速のコミュニケーション手段を得、世界がつながる。インターネット以前(BI:Before Internet)では技術進歩は比例的速度であり、自然の営みは殆どその法則にしたがって来た。例えば、獲物である動物が走って逃げる、それを待ち受けて捉えるためには、どのくらい先で待ち伏せるべきなのか、人間でなくとも動物は計算して待ち受けていた。比例計算である。

インターネット以降(AI:After Internet)の技術進歩は、過去のどんな時代にも経験したことのない指数級数的なスピードで発展している。半導体の進歩は、18ヶ月で能力2倍、コスト半分になる進化をずっと続けている。
美少女アンドロイド
このままの傾向が続けば2045年には、1つのチップ上に、一人分の大脳、1000億のシナプスと200億の脳細胞の合計1200億の細胞に 全人類70億人を積算した容量を実現できると言われている。これがシンギュラリティである。有機体である生物の追従できる速度を遥かに超える。無機物を技術で進化させて利用して来た人類はこの先、どこへ行こうとしているのか。

人類は有機体であるタンパク質で出来ている、生命科学では、タンパク質は120年で寿命が尽きるとされている。この限られた寿命のために生物は遺伝子によって、次世代に生命を伝えてきた。複雑な分子構造を持つ有機物生命体は環境適応性が高いが、一方、その複雑な構造は壊れやすく、環境変動に追従できないと消滅してしまう。過去200年来の技術進化のスピードを見ると、人類はさらなる進化を有機体から無機物に置き換えることで生き延びようとしているように見える。人類の歴史は肉体の制約から解放されようとして常に技術開発を続け、無機物によって肉体を代替発展させてきた。1000年先を考えた時、例えば、宇宙空間の異変に有機体である人類は耐えられるのか、甚だ疑わしい。

人間であることはどう言うことなのか、体のいろんな機能を無機物に代替させる事が現代医学の進歩だとすると、どこまで無機物に置き換わったら人間ではなくなるのか。
生身の人間だけでは月には行けない、技術を道具として使うことで人間は月にも、宇宙にも行ける。技術とは人間の能力を置き換えるものであり、拡張するものである。人は、心肺機能を機械に置き換えても、脳が生きていれば、人間と呼ぶだろう。人のアイデンティティとは、結局大脳であるらしい。脳をコンピュータで置き換える技術はまだ無いが、現在進行中の人工知能がシンギュラリティにより、ブレインアップローディング(脳活動をコンピュータに移植する)ことが出来れば、人のアイデンティティをもったロボットが出来るだろう。

2018年4月9日月曜日

Fiji: Third visit after 8 years of absence

Fiji Airport with bright sunshine
I am back now.
Lots of fish welcome us
Last March, we visited the dream island Fiji which was the third visit for the first time in 8 years. The shining sunshine, the blue sky, the ocean everywhere, the beauty that has not changed anything eight years ago. In comparison, our old divers are surely getting 8 years old. Especially I felt uneasy since this is the first diving after getting whole stomach removal surgery. At the moment to consult my surgeon if I can dive with this condition after 6 months of the
Beer at the pool bar how nice to heel
surgery, he amazed and speechless for a while, but finally gave me OK to go.
Every morning our boat leaves at 8 o'clock we dive twice in the morning, sometimes one additional in the afternoon, we get back to the hotel around 3 o'clock. A schedule like a  training camp of a sports club, it is not easy but fun, since when reached the hotel, we dive a swimming pool where they open pool bar, Fiji beer is the right way to heel thirst. At night stars enough to fill the sky which we almost forget to view while we are in Japan recently.
What a color of the sea
Stars filled the whole sky
Various people come to this hotel from LA, they have a direct flight, from Singapore also flying directly, from Korea etc. Visitors our next door is  Singaporean they come to big fishing, every morning they leave the hotel very early, and come back with several big tuna fishes. It was served at our table as a very fresh Sashimi and tuna steak, they are of course so good.This feast lasted three days until they left, instead, we bought a beer for them, it was a good deal and a good friendship.
Local primary school, clean and at the nice location
The last day on the island, we don't dive because of considering the influence of the body due to the change in atmospheric pressure from air flight, it was planned to visit a local primary school. How nice to chat to those pupils whose eyes were sparkling, they are smart, friendly, and never scared to talk to Arian.
Talking to pupils
I happen to find a computer room and have a chance to talk a guy handling PC, he showed a vigorous ambition to a higher knowledge of the whole IT products.He had a lot of questions about IT, but we could not share much time with him, we exchanged our mail address saying to communicate each other in future.
If possible, I want to help them to improve their IT environment.

they are listening to my talk
they are smart
Beautiful underwater world










2018年3月11日日曜日

アップルウォッチによる身体測定データの利用

アップルウォッチ
今や時計ではなく身体データ計測器
アップル・ウォッチを使い始めたのが2016年11月、着用すると自動的に身体データーをモニタリングして記録を残してくれている。
勿論ソフトをインストールしておく必要があるが、それ以降は全自動だ。
身体測定データー
体重計からWifiで自動収集
約1年半の毎日の身体記録が溜まっている。歩数、アクティブエネルギー、安静時消費エネルギー、ウォーキング・ランニングの距離、スタンド時間、睡眠分析データー、心拍数、最大・最小心拍数、心拍変動ミリ秒、高心拍数の通知などだ。睡眠分析は毎朝、目覚めの具合と睡眠の質を比べて実感との差を見るのが面白い。

Apple社がアップルウォッチを使って、心拍数のモニタリングから85%の精度で糖尿病を検知することが出来るとの研究結果を報告している。アメリカでは1億人以上が糖尿病やその予備軍と言われているが、糖尿病患者の1/4は自分が糖尿病であることに気づいていない。
歩数とエネルギー消費量
ウェアラブル端末とニューラルネットワークを組み合わせることで糖尿病を検出することに成功したのは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チーム。研究チームがサンプルとして使用したのは、Apple WatchおよびAndroid Wear向けに提供されている心拍数記録アプリユーザー1万4011人分のデータ。また、ディープニューラルネットワーク「DeepHeart」に糖尿病患者の健康データがどのようなものかを学習させるために、心拍数記録アプリのデータとは別に3万3628人分の健康データも用いられた。最終的にDeepHeartはデータ提供者のうち462人が糖尿病であることを検出することに成功しており、その検出精度はなんと84.51%という驚きの高精度。なお、DeepHeartは心拍数データがあれば使用できるので、Apple WatchではなくてもAndroid WearやFitbitsなど、心拍数の測定が可能なウェアラブル端末ならば、かなりの精度で糖尿病を検出できるようになるそうだ。
また、予備軍では88.4%は自分が予備軍であることの自覚がない。医者へ行って血液検査をすれば判明するのだが、自覚症状が無い限り検査を受けない人が多い。
心拍数モニタリング
設定した上限値を超えると
警告がでる
非侵襲性(身体に器具類を入れない)の計測装置があれば自ら予備軍かどうかを判断出来るのでは無いかと長年検討されてきた。まだ非侵襲的な方法で血中のグルコース濃度を測定し、糖尿病であるかどうかを検査する方法は確立されていないが、新しく発表された研究では、Apple Watchのような心拍数を測定可能なウェアラブル端末とディープニューラルネットワークを組み合わせることで、着用者に糖尿病の早期兆候がないかを驚くべき精度で調べられることが示されている。

2017年10月-12月期のアップルウォッチ出荷台数は800万台、それに対してこの期間におけるスイス製腕時計の世界出荷台数は680万台、アップルのたった一機種が全スイス時計メーカーの腕時計総数を上回ったのだ。まだ一年を通しての総数は、アップルが1840万台に対してスイス製腕時計は2430万台で、依然腕時計のほうが多いが、これはもう時間の問題と言って良いだろう。昔、携帯電話が通話するだけの道具だった時代に、スマートフォンが出現し、今や携帯電話機は電話機能より、パソコン機能の割合のほうが多くなってガラケーが消滅しかかっている。腕時計も、単に時間を知るだけの道具であったのが、電話、パソコン、身体データの計測器になり、早晩消滅していく運命だろう。スイスの時計メーカーはどうやって生き延びるのか、興味のあるところだ。
睡眠のパターン
標準的な眠りの深さ

睡眠のパターン
一晩中浅い眠りになっている
深い眠りで
目覚めも自然なパターン
アップルウォッチでは、iphoneと連動して、内蔵されているセンサーによってソフトさえ入れれば、いろんな身体データーが記録され、蓄積されていく。その量は全アップルウォッチ利用者のものを合計すると膨大なデータ量となり、自動的にビッグデータを形成する。しかし、今日、このビッグデーターを一人ひとりの健康や、病気の早期発見や、病気予防などへの利用が全くなされていない。アメリカでは生命保険会社がこれらのデータの提供を受けて、身体データから健康な人には保険料が安くなるサービスを始めるなど兆候は出てきた。糖尿病の検出に使われるようになるなど、人体ビッグデータとAI活用が我々の生活に生かされる日が早くこないかと思う。
毎日、自動でデータが収集され
蓄積されているが・・・・





2018年2月25日日曜日

仁和寺と御室派のみほとけ展から


仁和寺と御室派のみほとけ
東京国立博物館
東京国立博物館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展覧会を観た。以前のブログで仁和寺は一度紹介した。格式が高い寺院だが、仏像については地味な印象だったので、今回の展覧会はマニアックな人達が興味を持つ程度で、きっと空いているだろうと思った。ところが驚いたことにウィークデイの午前中にもかかわらず20-30分待ち。
中も満員、皆の期待は、空海と嵯峨天皇の書やお経の実物を目にすることだが、実は展示されている仏像が、二度とお目にかかれないだろう秘仏がいっぱいのお宝展示会だった。
観音堂がそのまま再現
仏像33体が勢揃い
回廊 柱・壁・天井一面の仏画
仁和寺の寺院の一宇である観音堂、一般参拝者には開示しておらず、修行中の僧侶だけが入れる特別な寺院である。この中で僧侶が修行し授戒の儀式なども行われる。この観音堂が修復工事中で、展示されている33体の仏像すべてが、普段安置されている姿のまま再現されており圧巻である。さらに、仏像のみならず、お堂の回廊も再現されている。修行僧は回廊を巡りながらお経を唱える。回廊には両側の壁面、天井、柱にびっしりと仏画が
回廊の裏側
色鮮やかに再現
描かれており、これらすべての仏画が再現されている。勿論この仏画はコピーだが、京都大学との共同研究で大型特殊スキャナーを持ち込み、顔料、染料に応じたいろいろな波長のレーザー光を使い、705億画素と言うとてつもない解像度で印刷した画像である。370年間一度も手が入っていないため、雨漏りや、劣化、壁のズレなどもそのまま再現されているので、観音堂の現在をそのまま見ることができる。
一般の人たちはこれから先二度と見ることのできない、回廊の姿と極彩色の仏画及び、33体の仏像類を体験できる貴重な機会である。
大阪葛井寺 真数千手観音菩薩像
異型の仏像だが整った美しさがある
1041本の手が光背のように円を描くよう配置されている
仁和寺は真言宗御室派の本山だが、全国に約790寺をもち、各地の御室派寺院からも数々の名品や秘仏が出ていて、これらの秘仏をまとめて見ることができる。圧巻は大阪葛井寺の秘仏千手観音菩薩像、本当に千本の手が造られており、日本で最も古い千手観音像とも言われている。江戸時代の出開帳以来初めて東京での公開。そのトータルのバランス、美
手の付き方が分かる
裏から見ると手を固定する枠組み
が造られていた
しさは息をのむ。本当に千本の手があり、「真数千手」と言われるが、その一つ一つに目が描かれている。まさに千手千眼観音菩薩である。通常、これだけ多数の手があると異様な姿になると思うのだが、実に安定した美しさを感じる、その要因は観音像を円心とした真円を形作る手の配置にある。千本の手と言うが、実際には1041本の手があり、これは
739年に遣唐使だった僧玄昉が持ち帰った「千手千眼陀羅尼経」にはじめて千手観音像が出現し、1041本の手を持つと書かれていて、このお経と手の数が一致する。
実際に1000本の手を有する観音菩薩像は他に、唐招提寺の千手観音立像、京都寿宝寺千手観音立像がある、坐像はこの葛井寺の千手観音菩薩像だけである。
多数の手が円形に配置
本体は脱乾漆づくり(正面の合掌手を含む)で、脇手(大きい)は木芯乾漆造、小手は桐材の木造となっている。時代が下ると、千手観音像は40本の手が普通となり、1本の手が25の世界を救うとされ、1000本の手があるのと同じと解釈するようになった。
葛井寺では毎月18日だけしか拝観できないし、後ろに回り込むこともできないので、1000本の手がどのように本体に付けられているのかも見えないが、この展示では後ろからも間近に見ることが出来て非常に興味深い。

西宮市 神呪寺如意輪観音
膝の形が変わっている。
西宮市の甲山中腹にある神呪寺(かんのうじ)から如意輪観音菩薩像が出典されており、平安中期の作とされている。如意輪観音像は普通、立膝をしているが、ここでは、半あぐらの形で非常に珍しい。桜の木で作られており、経典で補陀落山の小白花樹を模して、サクラを用いたのだろうと言われている。毎年5月18日だけ御開帳される秘仏である。甲山に登る出発点が神呪寺境内であり、何度も登っていてお寺を訪れているのに、日本三如意輪観音像であるのを今まで知らずにいた。西宮神呪寺、奈良室生寺、大阪観心寺の三大如意輪だ。

まだ他にも、重文・国宝級の秘仏が展示されており、仏像好きには見逃せない展覧会である。

この展示会以降、一般の人は入れない
再現された仁和寺観音堂の内部 33体の仏達


2018年2月5日月曜日

Rain Checkでランカウイ旅

アンダマン海のビーチ
1月末まで2週間、マレーシア・ランカウイ島で療養と避寒の旅をしてきた。
ビーチでシュノーケリング
もともと、昨年8月に夏休と思って予約していたが、予期せぬ入院・手術のため延期せざるを得なかったのを、半年遅れで実現したのだ。昨年、6月ランカウイ島にあるビラタイプのホテルをHPから直接予約し、料金を全額支払っていた。HPからの直接予約は料金がエージェント経由よりかなり安いが、予約変更は出来ない、変更はキャンセル扱いとなり、支払った料金は戻らない条件となっている。ところが6月の定期検診で、ガンが見つかり手術が必要となって予約はキャンセル、本来なら支払ったお金は戻ってこない。お金も大事だが、後期高齢者になった記念のランカウイ滞在をとても楽しみにしていたし、手術後の療養としても、ぜひともこの旅を実現させたいとの想いが強くなった。現地のホテルに直接電話をして、フロントのマネージャーに話してみた。必ず行くので、今回の予約(支払い)をRain Checkにして欲しいと言うのがその目的。
(Rain Checkとはもともと野球の試合が雨で中止になった場合、次の試合のチケットを貰えたことから来ている。今回は無理だけど次回埋め合わせをすると言う意味)
マネージャーは上司と相談して返事するとのことで、かなり冷淡な対応、スケジュール変更を正当化するための電話と理解されたと思う。
やがて、医者の診断書を送ってくれれば検討するとmailで返事が来た。入院時期や手術の内容などが決まるまで、時間がかかり、ようやく医者の英文診断書を現地へ送ったのが2ヶ月過ぎの8月末。そうするとガラリと対応が変わり支払った金額の半額を返却、半分をVoucherにすると言ってきた。連絡してきた人のメールの内容も、丁寧で心温まる御見舞メッセージがあり、この時点でいい人たちだなと思った。
近くのHoliday Villaのプールサイド
そして、1月、術後4ヶ月が過ぎ南国への旅を実現。クアラルンプル空港から国内線に乗り換えランカウイ空港に到着、事前にホテルに迎えを依頼しておいたので、出口で迎車の運転手と会ったのだが、もう一人日本人の若い女性が出迎えてくれた、彼女はホテルから頼まれて私達の通訳として派遣されたのだという。(頼んでないぜ・・・)
彼女の話では、私の今回の宿泊については主要なマネージャーに、丁寧な対応をするようにと連絡されているとのこと。それは、ホテルのオーナーまでRain Checkの話が上がり、オーナーが了承した際の指示だ。その夜、隣の日本食レストランでたまたま来ていたオーナー家族に挨拶し、お礼と特別な配慮に対する感謝を伝えることができた。
夜のビーチサイド・レストラン

翌日、フロントオフィスのマネージャーを訪ねて、特別な配慮への感謝を伝えた。彼女が私の要求を受けてオーナーに掛け合ってくれたそうだ。ちょっと見はクールでビジネスライクなので、冷淡に見えるが、話してみると温かくて有能な人だと分かる。
ビラ全体で15棟の小さなホテル、働いている人の数も知れている、彼ら全員が我々の名前を覚えて、会うたびに、困ったことはないかと聞いてくる。ビラはすべて小高い丘の麓から頂上にかけて建っており、ビラへの往復は急坂が続くため4WDのバギー車が送迎する。このドライバー達が特に気を遣ってくれる。
太陽が眩しい

今回10泊の予定で滞在しているが、予約は同じ棟で7泊まで、残り3泊は連続して予約がとれないので、別の棟に移ることになっていた。投宿2日目にフロントのマネージャーがやって来て、実は、少し離れたところに、同じ系列の新しいホテル(ビラ8棟)が完成、昨年12月にオープンした、各棟にプライベートプールがあるし、ここより大きいので一度見に来ないかとのこと。値段は倍だ、面白いので見学した。豪華さが違う、しかし値段が倍では話にならないと思っていたら、彼女が意外なことを言い出した、この棟を提供するので移ってこないか、値段や条件は従来と同じで結構と言う。ここならずっと最後まで同じ棟で過ごせる。何よりこんな超豪華ホテルに泊まるチャンスは無いに違いない。喜んで、即移動。マネジャーは我々が連泊出来ないのを知っていて、こんな形で最後まで過ごせるように手配してくれたのだ。何の恩着せがましいことも言わず、黙って我々のことを考えてくれていた好意に感動した。
豪華なビラ プライベートプールが付いている
最初の日に空港まで来てくれた日本人の通訳の女性も、オーナーから時々、我々の様子を聞いて、ちゃんと面倒を見るように言われていたそうだ。押し付けがましいことは一切言わず、地元の人達が行くナイトマーケットなどに案内してくれて、住民が食べるマレー料理なども買ってくれる、お金を払おうとしたら、オーナーからお金が出るので気にしなくて良いと言われる。また住民でないと知らないような情報も教えてくれるし、我々はYoga教室に通っていたが、彼女も一度付き合ってくれた。誰も私の病気のことは尋ねないが、気遣ってくれる気持ちは全員からひしひしと伝わってきた。本当に心に響くおもてなしだ。しかも前払いで支払った金額以外、何の追加料金請求も無かったのに驚いた。
部屋に書斎まで、そのままプールに
入ることもできる
人間万事塞翁が馬と言うが、このホテルに昨年の夏泊まっていたら、こんなに温かな人たちと触れ合うこともなく、普通の南国の旅の印象で終わっていたはず。胃は失ったが、ランカウイの人たち一人ひとりの、気持ちのこもった気遣いに毎日囲まれた10日間は、多分一生忘れられない感動の宝物になったのだ。
我が家専用、10mのプール