Sunday, May 3, 2009

オープンソースでプロジェクトを


「ウェブ進化論」や「ウェブ時代をゆく」の著者でシリコンバレー在住の梅田望夫さんが
まったく仕事とは関係のない、将棋の本を出版しました。
私は将棋をやりませんし、あんまり興味もないのですが、この本の出版に関連してウェブ上で面白いプロジェクトが進んでいますので、ご紹介したいと思います。
著者梅田望夫さんが、この本を出すときに、出版社とも話し合って、発売数日前4月20日に「この新著は、何語に翻訳してウェブにアップすることも自由とします」と、彼のブログ上で宣言したのです。
そうしたところ、この本を読んで、かつこのブログ宣言を読んだ読者から、次のような、反応がすぐ現れました。

「この本を丸ごと英訳しちゃえばいいんですね?!

・・・・・

やるっきゃないですね。

やってみました。とりあえず「はじめに」が終了。はい、めっちゃ時間かかります。一人でゼロから全部英訳するのってかなり非効率。・・・・ そこで考えました・・・

ここから提案です。

この英訳、wikipedia-likeにみんなでやりませんか?まず僕を含め7人ほどメインの翻訳者を集めます。この7人で分担してひとまずbriefly全部を英訳してしまう。そして出来上がった訳をこの7人含め不特定多数のひとで修正・improveさせる。ずばりオープン・ソースですね。」

このブログ上の反応が出て、わずか半日、英文翻訳プロジェクトはなんと10名の大所帯にまで膨れ上りました。直接参加はしなくとも、応援する人とか・どうなるものかと見守っている人などを加えると、本当に多数の方を巻き込むプロジェクトになってきました。

さらに、英語への翻訳チームができたのに引き続き、今度はフランス語翻訳を呼びかけるつぎのような
ブログが現れました。

「 私はこの宣言を受けて、この度本書をフランス語に翻訳するプロジェクトを立ち上げたいと思います。そしてこのプロジェクトにご参加いただける方をここで募集したいと思います。
私個人についてですが、フランスの大学に正規留学し5年現地滞在した経験がありますが、フランス人の日本伝統娯楽(私が見たのは特に囲碁ですが)に対する強い興味を肌で感じて参りました。
よって、この梅田氏の著作が、多くのフランス人にとっても興味深いものになると確信しております。
そして、この翻訳作業が、私の留学時代に多大なサポートを与えてくれたフランス人に対する僅かな恩返しになれば、と考えております。
せっかくオープンにするので、できるだけ早い段階で、成果物とウェブ上にいるフランス人将棋愛好者とを繋げたい。  そして、翻訳を読んだウェブ上のフランス人将棋愛好者のフィードバック(質問)を翻訳して、梅田さんをはじめとする日本人の将棋愛好家や、棋士の方にブログ経由で伝え、(できれば)リプライを受け、それを仏訳して彼らに戻したい。
実はこの作業には、隠れた作戦もある。フードバックを受けたフランス人に翻訳の添削をおねがいする予定だ。 文章のクオリティ確保にやはり、ネイティブの目は欠かせないと考える。 もし、翻訳内容に関心を持ってくれていたら、無下に断ることはないのではないか、、と楽観的に考えている。」
翻訳自由の梅田氏宣言が出たのが4月20日、本の発売は24日、それからわずか1週間程度で、これだけのプロジェクトが、まったくのボランティアベースで、しかも全世界的に立ち上がった。 そのスピード感と言い、内容の高度さと言い、従来の仕事のやり方とはまったく違う世界がネット上で形成されたことを痛感せざるを得ない。

梅田氏はこのような「オープンソース的協力の成立要件」について次の5項目を挙げている。
  • プロジェクトの中核に、尋常でない情熱が宿っていること。
  • そのプロジェクト自身に大きな意義がありそうに思えること。
  • プロジェクト・リーダーの私的な利益に供しないこと
  • オープンソース的協力がなければプロジェクト自体が成立しないだろうこと。
  • プロジェクトに参加するために必要なスキルがわかりやすいこと。
自分の好きなこと、得意なこと、人生で志向することを本当に追いかけると、ネットの世界では同じ志を持ったコミュニティを、時空を超えて組織することが出来るのだ。
世界はきっとこのようなネットの利用によって、より良い方向へ変化してゆくはずだと信じたい。




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