Tuesday, June 14, 2011

所有から使用への道

グーグルは5月にネット経由の音楽管理サービスに参入することを発表した。 利用者は自分の持つCDやネット経由で購入した楽曲をグーグルに送って、2万曲までの管理をグーグルに任せる。
Music Beta by Google」というクラウド・サービスである。グーグルのもつ巨大なクラウド上に、音楽を置くことによって、携帯電話、PC、タブレット、音楽専用端末などあらゆる端末で自分の音楽を愉しむことができる。
もうCDや、iPodなど自分用の機器に音楽を貯めこむ必要がなくなる。即ち所有する必要はなく、好きなときにクラウドから取り出して聞けば良い。

一方、iPodで音楽を一曲ずつ購入して持ち歩くと言う文化を作ったアップルもこの度、iCloudを発表し、ituneをクラウド化した。
驚くのは、アップルから購入した楽曲は勿論、利用者がCDからiTuneに入れた楽曲もiCloudが自動的に取り出してクラウド化してくれる。
音楽を持ち歩く文化はソニーウォークマンで創り上げられた生活スタイルだが、アップルがそれをよりスマートにカジュアルにした。
そして、今や利用者が所有する必要をなくそうとしている。ソニーができなかった自分のビジネスモデルを否定して次々と変身し、さらに新たなモデルを求めてゆく姿に感銘を覚える。

ところが、日本ではこれらのサービスが提供されない可能性がある。
何年も前に、日本でも同じようなサービスがあった。「Myuta」という名前のサービスで、携帯電話用の形式に変換した楽曲をサーバーにアップロードしておいて、必要なときに携帯電話から取り出して愉しむスタイルで、まさにグーグルのMusicBetaと同じ発想であった。
「Myutaは著作権法違反と日本音楽著作権協会(JASRAC)」から訴えられ、東京地裁での判決でJASRACの主張が認められたのだ。
日本には世界に類を見ない「送信可能化権」と「公衆送信権」という法律があり、受信者からの求めに応じて情報を自動的に送信することが出来る状態を作り出す行為を行った業者は、罰せられる可能性が高い。
全く同じことが、TV番組を自分で録画して、クラウドに置いて見たい時にみるサービス「まねきテレビ」でも、最高裁で業者が敗れた。

電子書籍でも同じことがあるかも知れない。自分の本を自炊してクラウドに集積し、読みたい時にどこからでも読めるサービスはこれから主流になるだろうが、日本だけそれが出来なくなるかもしれない。アマゾンではもう始まっている。
携帯電話がガラパゴスと言って揶揄している間はまだまし、あまねくサービスされる新しい文化の形態が日本だけ利用できないとなると、世界に取り残された化石の国になるだろう。

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