Saturday, September 1, 2012

海の風か山の風か

残暑きびしい中、朝夕は少ししのぎやすくなってきた感じがします。 私は海が好きなので、夏は風さえあれば一日中海を眺めていたいとさえ思います。
大阪の下町で育ったので、海といえば、夏休みに一度か二度行って海水に浸かるのがせいぜい。
海水浴場は、暑いし、混んでいるし、砂浜も人で一杯だし、そんなに海が良いとは思えなかったのに、ある日突然、私は海が好きなんだと気がついた。 
沖縄に休暇で家族と1週間ほど滞在していた時のこと、朝食を済ませて、ベランダから緑と碧のグラデーションに輝く海を眺めていた。 沖を観光用の潜水艦が右から左へゆっくり横切って行き、水平線に消えてゆくのが見えた。ぼんやりと意識しない時間が流れて行き、ハッと気がついたら1時間以上が経過していた。 普段は何かしていないと落ち着かないのに、これだけぼんやりした時間を心地よく感じたことは、嘗て無かったことに、改めて驚き、私は海が好きなんだと気がついた。
その延長線でダイビング・ライセンスを取り、いつか心ゆくまで海を楽しもうと思っていたが、現役時代は所詮無理な話。
退職後、時間がたっぷり与えられた環境で、ようやくダイビング仲間と共に南の海で潜る事が出来るようになった。

今年の夏は日本が熱帯気候に変わったような天候になった、竜巻はあるし、集中的に激しい雨は降るし、気温は連日のように35度を記録する。
毎夜、寝苦しい時間が続く。私はエアコンの風が嫌いだ、この風に当たっていると必ず頭が痛くなってくる。連れ合いは、エアコンが無いと眠れないので、私は布団をかぶってひたすら我慢を強いられる。気候の変化で我々は夫婦関係に大きな影響を被っており、早く涼しくなってくれないと困るのだ。

人にとって、気持ちのよい風とはどのようなものだろう。 よく、高原の涼風が気持ち良い、とか、海を渡ってくる風には湿気があって肌がべたつくので、嫌だとか言われる。
エアコンの宣伝文句に避暑地の心地良い風を! などと謳っているのがあるが、信用しない。

私にとっての最も快適な風は、数年前に経験した南海(ボルネオ島沖)の海風で、忘れることが出来ないほどの快感だった。
海上に建つコテッジがホテルの部屋で、各コテッジ(レストラン棟や事務所棟)は、橋でつながった構造になっている。
部屋は窓ガラスなどなく、雨が降った時に降込まないように木の扉があるだけ、ふだんは蔀戸のように撥ね上げておく構造。
四方の蔀戸を開けておくと、四六時中海を渡ってくる風が吹き抜ける。この風の量が半端ではない、膨大な風の塊が吹き込んできて体を包み込むのだ。
この風をどのように表現すれば良いのか、いわゆる涼風ではない、涼風は低温で暫く当たっていると体が冷えてくる、体温を奪う風だ。
ここの海を渡ってくる風は快適な気温で、恐らく体温とほぼ同じか、ほんのすこしだけ低いのだろう。この風に身を委ねると、あまりの心地良さに心身がとろけてくる、そしてあっという間に眠ってしまうのだ。
「風に淫する」と言うのが最も当たっている表現ではないか。
熱帯の海を渡ってくる風、日本の暑い夏の夜、ひたすらこの風が恋しい。









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