Sunday, November 10, 2013

今年の正倉院展(第65回)から


秋は正倉院展の季節、秋晴れの一日、奈良国立博物館へ出かけた。
毎年行っていると要領が分かってきて、空いている日や時間をうまく選べるようになる。
漆金薄絵盤

今年の目玉は、第65回正倉院展ポスターに取り上げられている仏具「漆金薄絵盤」だ。香を焚くお盆を載せる台で、蓮の花が開いた形をしている、全部で32枚の花びらがあり、一枚一枚に精緻な筆致でおしどりや花、獅子などがきれいな色彩で描かれている。まさに出来たばかりのような美しさだ。
完璧な形と色
真新しい感じさえする
すべての花びらが完璧な形に造られ、さらにこれらの花びらは固定されておらず、風が吹くと揺れるのだそうだ。とても信じられない。直径56センチ、結構大きい。
お盆の上で焚く香づくりは、一筆書きの木枠に香と灰を詰め込んで固める、枠を外すと一筆書きになったお香が残る(渦巻形蚊取り線香の様な)、それを木製のお盆の上で焚く。お盆が焦げて燃えないかと心配になるが、大丈夫だと言う。きれいな蓮の花からいい香りのお香が流れ出る様を想像するといい気分になれる。

聖武天皇が使用されていた鏡「平螺鈿背円鏡」も素晴らしく豪華だ。
平螺鈿背円鏡
豪華な宝玉で飾られている
27.2センチの鏡背面に贅を尽くした細工がされている。中国製(唐)だ。花やすずめが螺鈿で表現されており、さらに、琥珀やトルコ石、深い青色のラピスラズリなどが使われている。
世界各地から貴重な素材を集めることが出来たグローバル大国・唐だからできた作品と言える。
ラピスラズリは今のアフガニスタン特産の貴重な宝石であり、当時のヨーロッパでは、金と同じ値打ちがあるとされた。

ゲーム 投壺
天平貴族は何をして遊んでいたのか、碁や将棋もあったが、今回展示品の中に面白い遊具があった、「投壺」だ。
投壺は高さ31センチほどの銅製の壺、表面に獅子や鳥などが刻まれていて、口の両側に穴の空いた耳が付いている。
離れたところから先が丸くなった矢を、壺の口や耳の穴に投げ入れて数を競い合うゲームだ。 感覚的にはダーツが近い。
韓国では今でも「トゥホ」と呼ばれ伝統的な遊びとして親しまれていると言う。日本ではこのゲームは廃れて伝わっていないが、お座敷の遊びである「投扇興」のルーツがこれだ。

正倉院には膨大な量の書類(正倉院文書)が残されている。当時紙は非常に貴重な素材だったので、正式な官庁からの文書、諸国からの報告書などは、廃棄しないで裏面を使って、東大寺写経所で帳簿として再利用されていた。
それらの中には当時の写経生や下級役人などのメモ、報告書などが沢山残されており、彼らの生活を垣間見ることができる。
今年度の文書の中に、役所への借金申請書や返済具合が書かれたものがあった。布生地を担保に金を借りた記録がある、驚くのは利息が月利13%、年利にすると156%だった。当時の役所は随分アコギな金貸しだったのだ。




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