Thursday, July 16, 2015

再びマグリット展


東京での展覧会を終えて、今月から京都市美術館にマグリットが来たので、もう一度見に行った。京都にやって来るのは44年ぶりらしい。
彼が描いているものは、木の葉、鳥、岩、空、雲、など日頃身近にあるものばかりだが、そのような普遍的なテーマを、全く異なったイマジネーションで見せる。それが、マグリットのイノベーションだ。
キリコ

マグリットはギリシャのジョルジュデ・キリコの影響を受けている。キリコの絵はどこかで見たような風景とよく言われる、心理学で言う
キリコ
「既視感」、「既体験感」と同じような反応をもたらし、不安や郷愁を感じる。
この作風は「形而上絵画」と呼ばれ、「五感で捉えられる現実を超えた、物事の本質」を表現している。形而上とは形而上学(ラテン語でメタフィジカ)に由来する。フィジカ(自然現象)のメタ(後ろ)で、「自然現象の背後にある認識できない世界」を指す。形而上絵画は目に見える日常の裏に潜む神秘や、謎、不安、憂鬱といった感情を表現している。

車と競馬
マグリットは昼と夜は真逆の時間であるという固定観念を、一枚の絵の中にそれらを同時に描くことで、我々の頭にある概念を崩してしまう。マグリットの絵を見ていると、固定観念は脆いものだと悟らされる、そこに衝撃と面白さがある。マグリットの母親は、彼が幼い時に入水自殺する、母親が運ばれてきた時、顔は白い布に覆われていた、その印象が残っていて、頭部を白布で覆われた男女を描く「恋人たち」が誕生したそうだ。しかし、そのような逸話を知らないでも、「恋人たち」は色んなシチュエーションを想像させ、物語を紡ぎだす。
コップと傘
走行する車の上を馬が疾走する、騎手はムチをいれ、あたかも今、車を追い抜こうとしているようだ、夫々は平凡なイメージで、普通に描かれているのだが、シチュエーションが面白くて思わずはっとさせられる。 傘の上に水の入ったコップが乗っている、水・雨・傘の連想か。
夜だが、男のシルエットの中に、黄昏の森の情景が浮かぶ、男の顔は描かれていないが、額の当たりに三ヶ月、少し不気味だが、静けさと叡智を思う。

京都市美術館のマグリット展は10月12日まで、大人1600円。
カーテンを引くと青空


No comments: