Wednesday, July 12, 2017

奈良 福智院の地蔵菩薩像


奈良 福智院 黄色の壁が目立つ
奈良の地蔵菩薩と言えば、十輪院の石像が有名、しかし、十輪院のすぐ近くなのに、福智院は初めてだ。本尊は地蔵菩薩坐像であるが、非常にユニークなお地蔵様である。
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平日の午後、福智院を訪れると、他に拝観者は居らず、一人で地蔵菩薩坐像を独り占め。さらにご住職が丁寧に説明してくれて得した気分だった。
気兼ねなく、菩薩像の光背にも近づいてじっくり眺めることができた、光背にびっしり付いた560体の化仏も間近で確認、「美は細部に宿る」と言うが本当のことだ。
福智院は十輪院のすぐ隣だった
お地蔵様は大人から子供に至るまで皆に親しまれる仏像だ。もともとインド神話にでてくる仏陀以前のインドの神様で、梵語でキシチ=ギャルバと言い、キシチは大地、ギャルバは胎を意味し、全てを包含することを言う。地蔵とは大地の様に全てのものを育成し成就させる働きがあると意味だが、仏教では地獄に堕ちた人にも手を差し伸べる慈悲無類の菩薩である。仏陀が入滅してから次の弥勒如来がこの世に現れるまでの56億7千万年間は、地蔵菩薩が人々の救済に当たるとされている。
地蔵菩薩坐像(重文)
福智院の地蔵菩薩坐像はとても変わっている。まずは座っている台座だ、普通は如来が座る宣字座(四角で前から見ると漢字の「宣」に見える)に、右足を出した安座姿であること(安座姿の仏像は珍しい)。さらに舟形光背を背負っているが光背一杯に化仏がびっしりと彫り込まれている。その数560体、その他、頂上に如来像、左右3体づつの地蔵像、合わせて567体の化仏があり、その数は、釈迦入滅後56億7千万年後に下生する弥勒信仰を表している。裳懸け宣字座は如来専用、化仏付き光背も如来のもの、そして、立ち姿が多い地蔵菩薩が、宣字座で安座とは何事かと思われる。このような地蔵菩薩像は他に類例がなく、福智院の本尊が唯一であると言われている。
光背を埋め尽くす化仏 その数560体
私達が目にする地蔵菩薩像は石造りが多い、福智院の地蔵菩薩像は鎌倉時代の作で重要文化財の指定を受けている。ヒノキの寄木造りの上に漆を塗り重ね、その上に彩色が施されていた。造立は鎌倉時代だが、裳懸け宣字座のつくりは飛鳥・白鳳時代の古い様式を残しており、南都の鎌倉彫刻の特徴か、丈六の坐像となっている。もともとは興福寺の地蔵堂であった。奈良・三地蔵菩薩像は、十輪院の石造り地蔵、福智院の丈六地蔵、大和郡山矢田寺の日本最古の地蔵の三尊である。次は矢田寺を訪れて三地蔵を片付けたい。

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