2018年7月4日水曜日

木造の大仏 長谷寺十一面観音像

花の御寺 長谷寺
長谷寺は何度も訪れている。牡丹の名所として名高く、399段ある登廊を上って本堂に到着すると、そこは、京都清水寺と同じく懸け作りの舞台になっており、景色が素晴らしい。
京都清水寺のような懸けづくりの舞台がある
そこからの景色が素晴らしい

ここの牡丹は中国・唐から献上され根付いたと言われる「東洋一 長谷の牡丹」である。牡丹の他にも季節毎にいろいろな花を楽しめるので、一年中参拝客が多い。今回は牡丹はなく、紫陽花が咲いていた。本堂は大和と伊勢を結ぶ初瀬街道を見下ろす初瀬山の中腹に建つ。『枕草子』『源氏物語』『更級日記』など多くの古典文学にも登場してくる。中でも『源氏物語』第22帖にある玉鬘の巻のエピソード(和歌)中に登場する二本(ふたもと)の杉は現在も境内に残っている。
源氏物語 玉鬘の和歌にある
二本の杉

玉鬘は夕顔の娘の話で、長谷寺参詣の途上で偶然にも夕顔の侍女だった右近に再会、その紹介で源氏の邸宅・六条院に養女として引き取られる事となる。田舎での生い立ちながら母よりも聡明で美しく、出処進退や人への対応の見事なことよと源氏を感心させた話が出てくる。

木造十一面観音立像(本尊)が長谷寺の本尊である。神亀年間(720年代)、近隣の初瀬川に流れ着いた巨大な神木が祟りを呼び、恐怖した村人の懇願を受けて開祖徳道が祟りの根源である神木を観音菩薩像に作り、これを近くの初瀬山に祀ったという長谷寺開山の伝承がある。何らかのいわれのある木材を用いて刻まれたものだろう。現在の本尊像は天文7年(1538)の再興。仏像彫刻衰退期の室町時代の作品で、10メートルを超える巨像であり、国宝・重要文化財指定の木造彫刻では日本一の木造大仏とされる。
長谷寺縁起 神木を引いて仏像を作る
通常の十一面観音像と異なり、右手には数珠とともに、地蔵菩薩の持つような錫杖を持ち、方形の磐石の上に立つ姿である(左手には通常の十一面観音像と同じく水瓶を持つ)。これは地蔵菩薩と同じく、自ら人間界に下りて衆生を救済して行脚する姿を表したものとされ、他の宗派(真言宗他派も含む)には見られない独特の形式である。この種の錫杖を持った十一面観音を「長谷寺式十一面観音(長谷型観音)」と呼ぶ。
長谷寺式十一面観音像
右手に錫杖を持つ
十一面観音像は日本中に数多く作られ、次のような利益があると信じられた。

現世利益(十種勝利)
(病気にかからない)
(一切の如来に受け入れられる)
(金銀財宝や食物などに不自由しない)
(一切の怨敵から害を受けない)
(国王や王子が王宮で慰労してくれる)
(毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病状がひどく出ない。)
(一切の凶器によって害を受けない)
(溺死しない)
(焼死しない)
(不慮の事故で死なない)

来世利益(四種功徳)
(臨終の際に如来とまみえる)
(地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない)
(早死にしない)
(今生のあとに極楽浄土に生まれ変わる)

こんなに利益が得られるのならと大流行した。化仏は阿弥陀如来である。多くの十一面観音像を見て、錫杖を持っていたら長谷寺式で、殆どは真言宗豊山派に祀られている。

近くに古いお寺が多く
飛鳥時代の中心地である


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