2018年7月24日火曜日

新版画展 美しき日本の風景 


川瀬巴水・吉田博の作品が多い
京都駅ビルの美術館「えき」にて開催されている新版画展「美しき日本の風景」を見てきた。「新版画」という木版画のジャンルがある。江戸時代、浮世絵が出来て、木版による大量印刷が可能となり、庶民の間で絵画が楽しまれるようになった。額に入れて飾るような絵ではなく、どんどん新しい版画が出版され、庶民が買って楽しめるような値段で広まった。世界的に見ても庶民が競うように新しい版画(浮世絵)を購入して流行らせたのは稀有なことではないかと思われる。だから、陶器や漆器を海外に輸出する時、詰め物として使われたのが古い浮世絵だった。
左 広重 右 ゴッホ

左 広重  右 ゴッホ
特にヨーロッパで、この詰め物に使われた古い反故のような浮世絵が注目され、日本ブームが起きた。ゴッホなどは日本をまるで美術の理想国のように誤解し、日本に憧れて作品に影響を及ぼしたりした。おかげで浮世絵は日本絵画を代表する芸術として、日本よりむしろ海外で高く評価され、蒐集されてきた。
川瀬巴水 増上寺
川瀬巴水は雪、雨、夜景などをよく描いている
しかし、20世紀初頭には、江戸末期に盛り上がりを見せた浮世絵(伝統的版画)はほとんど衰退。大正期に入り、版元渡辺庄二郎は浮世絵版画の良さを活かして、絵師、彫師、摺り師による伝統的分業体制を再編成、新しい木版画づくりを目指した。その結果、「新版画」として新しい浮世絵がつぎつぎと出版されるようになった。
川瀬巴水 奈良春日大社

川瀬巴水 井の頭池
 浮世絵伝統の技術が今日まだ残っているのは、版元渡辺庄二郎の浮世絵再興の努力と新たな芸術創造のおかげだ。浮世絵の風景画は葛飾北斎、歌川広重などによって大成されたが、これが新版画では、新しいスタイルで表現され、魅力がある。
吉田博 日本アルプス
登山が好きで山の絵が多い
その中心は川瀬巴水(1883-1957)や、吉田博(1876-1950)らで、共に新版画の確立に努力した。
吉田博 瀬戸内海風景
明るく透明感のある作品が多い
江戸時代と同じような場所を浮世絵と新版画で描いた。
渡辺庄二郎の版画店は、(株)渡辺木版美術画舗として現在は銀座に店がある。東京に行くときは私の銀座オフィスのすぐ近くだったので、よく覗いていた。版画なので、値段も手の届く範囲のものも多く、美しい版画を見るのが楽しみだった。

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